日本一の商業都市・銀座。本書は、そんな銀座のビル屋上でミツバチの飼育を行っている「銀座ミツバチプロジェクト」仕掛け人であり、現在同名のNPO法人の副理事を務める著者の活動記録だ。ミツバチの飼育を通して都市と自然環境との共生を図っていくのが目的で、主に、ビル屋上での養蜂・採蜜、採れたハチミツを銀座の飲食店などで使ってもらう「地産地消」の推進などの取り組みを行っている。
本書には「誰よりも早く環境の異変に気づくのは養蜂家」とある。ミツバチは「環境指標生物」であり、著者は養蜂を続けるうちに「周囲の環境」を「ミツバチの視点」で見つめるようになっていく。「自然の営みの大切さ、厳かな命の連鎖が、ミツバチを飼うことで見えてきた」とのこと。何か行動する際も、小さく弱い存在であるミツバチにとってはどうか、との視点で判断するのだという。現在は、「ファームエイド銀座(地域限定の野菜・特産物の販売などを通し、環境や農業について考えるイベント)」の開催、都市緑化推進、さらにはミツバチのオペレッタ「銀ぱち物語」の開催など、環境関連の活動は多岐にわたる。
「環境問題に対する一般的なスタンスというと、少々ストイックな姿勢を求められるというイメージがあるが、私たちには少し難しいと思う」と著者は語る。その言葉通り、銀座でミツバチを飼い始めたきっかけは「銀座でハチミツがとれたら面白いよね」という思いつき。この「面白そう!」がさまざまな人びとに感染していき、本書曰く「まるでおもちゃ箱をひっくり返したように」、たくさんの人たちが「面白そう」なことを提案し、実現させていく現在へと至っているのである。
著者自身が「面白さ」を基盤に活動しているからだろうか、本書には「面白い!」がたくさん詰まっていて、読み進めるうちに、自分でもやってみたいと思えてくる。読了後ミツバチ好きになれる(かも)というオマケつきの本書は、「環境問題は苦手」という方にもお勧めの一冊だ。
(評:佐藤安紀)
by plathome03 | 2010-02-03 20:47 | 環境

