あなたには「ワークショップ」に参加した経験があるだろうか。
「ワークショップ」とは、課題解決のために、参加者一人ひとりの知恵を引き出し、互いに意見を共有し、そこから新しい知恵を創造する方法論として、NPOなど「新しい公共」の担い手により、その活動場面などで幅広く使われている。従来、話し合いや会議の場と言えば、特定の人が話して、多くの人はただ聞くだけという形態が多かったが、ワークショップでは、話す/書く/手足を動かすなど、身体全体で感じ、発想し、提案するような主体的・能動的作業に、その場にいる誰もが参加できる。参加者/主催者の両者にとってまさに夢のような方法だ。
まちづくりにおいても、住民が主体となって知恵を出し合うために「まちづくりワークショップ」が行われている。しかし、その普及につれて、ある混乱も生じてきている。それは「ワークショップ=住民参加」という受け止められかたであり、ワークショップが住民参加の免罪符のように使われていることである。そうなると人びとは、大きな期待をよせて参加したものの、アリバイづくりに加担させられただけで、何ら変わらぬ現状により深い失望感を味わうことになる。
本書は、そうした誤用の流行に警鐘を鳴らし、ワークショップがそれを必要とする場でそれに適した形で提供されるよう、それが立脚する根本思想にまで遡って書かれたものである。とりわけ、著者は「ワークショップは特段新しいものでもなく、人類の知として蓄積されてきた集団の力を発揮する方法であり、そういった要素はありとあらゆる日常に本来見出されるもので特別なものではない」と力説する。
こうした前提の上で、本書は「まちづくりワークショップ」の事例、キーワード、Q&Aなどの基本事項から、場の進行役――「ファシリテーター」と呼ばれる――のノウハウに至るまで多岐にわたる話題を丁寧に掘り下げていく。本書をガイドに、まずは一度、ワークショップを体験してみよう。
(評:高野侑実)


